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ミステリーシネマ神戸・はてな支店

永遠のセルマとミステリーシネマ神戸の抜粋です。

駅 STATION 東宝 1981

281.日本映画(80-95年)

松竹の倍賞千恵子を使って、松竹では撮れそうにない映画を撮った。

薄味だが心にしみる作品。

英二は銭函駅で妻子を見送っていた。

彼は刑事であり、オリンピックの射撃選手であるが、忙しさのあまり夫婦生活に行き違いが生じ、別れたのだ。

上司の相馬が連続殺人犯22号に射殺された。

犯人を追わせてくれと警視に申し出るが、オリンピック出場を優先すべきだと説得される。

奇しくも円谷幸吉の自殺をテレビは伝えていた。他人事ではなかった。

9年後、増毛駅前の食堂で勤めるすず子をオリンピックのコーチから降ろされた英二は張りこんでいた。

赤いスカートの娘ばかりを狙う連続暴行殺人犯吉松の妹だった。

彼女の恋人は、警察に逮捕させるために妹を騙して兄貴を呼び出させると言う。

捜査本部はその作戦に飛びつくが、妹を持つ英二には卑怯に思えてならなかった。

当日暗くなってから、駅に吉松は現れた。

その3年後、吉松から死刑執行を知らせる直筆の手紙が届く。

刑事を辞める決意を固めた英二は正月の帰郷をするために再び増毛駅に降り立った。

駅では見知らぬ女が誰かを待っていた。

雄冬への連絡線が欠航になった夜、飲み屋に入るとその女桐子がいた。

意気投合した二人は翌日も会い、夜をともにする。

しかし初詣で桐子は昔の男と再会し、英二は雄冬へ発つ。

札幌への帰途、相馬を殺した連続殺人犯22号を見たというたれ込みがあった。

英二は桐子と男のことを思い出し、増毛へ立ち戻る。

桐子を押しのけ、居間に入ると炬燵でくつろぐ22号がいた。

銃を構えようとする22号を英二は迷わず射殺した。

桐子は「そういうことか」(犯人の愛人と知って近づいたのか)と呟いた。

決してそうでなかったが、英二は絶句してしまった。

駅でのエピソードをつないで、スリーコーラスの歌詞のような佳作を降旗監督と倉本聰は作り上げた。

いろいろな俳優が登場するのも楽しみ。

健さん映画となるとちょい役でも大物が出てくる。

いしだあゆみ田中邦衛倉本聰人脈だし、小林稔侍、室田日出男は健さんの東映人脈、池部良は「昭和残侠伝」人脈、倍賞千恵子は「幸せの黄色いハンカチ」人脈だ。

とくに小林稔侍は青い演技を見せていた。

高倉健倍賞千恵子が飲み屋のカウンターをはさんでのロングショットが印象的。

ちょうどラストの別れのシーンと対比になっている。

一夜を過ごした後「私、声を上げなかった」と倍賞が尋ね、健さんは否とこたえるのだが、ぼそっと「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」と言ったのは健さんならではのコミカルな演技だった。

劇中では1979年の年末模様が描かれている。

飲み屋では英二と桐子がテレビの歌番組を見ている。

はじめにかかっていたのは年末の「夜のヒットスタジオ」だろう。

この年苦節18年からブレークした小林幸子の「おもいで酒」、村木賢吉の「おやじの海」、そして桐子が好きだと言った八代亜紀の「舟歌」。

翌々日はレコード大賞ジュディ・オング「魅せられて」がかかるのは良いとして、その後で意外にも石野真子「ジュリーがライバル」がかかった。その年の紅白のトップバッターだったらしい。

トリの五木ひろし「おまえとふたり」、大トリ八代の「舟歌」と続き、これぞ昭和歌謡映画だった。

監督 降旗康男

脚本 倉本聰

製作 田中壽一

撮影 木村大作

美術 樋口幸男

音楽 宇崎竜童

出演

高倉健 (三上英次)

いしだあゆみ (別れた妻、直子)

大滝秀治

八木昌子

池部良

烏丸せつこ (すず子)

宇崎竜童

古手川祐子 (妹)

倍賞千恵子 (桐子)

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