ミステリーシネマ神戸・はてな支店

永遠のセルマとミステリーシネマ神戸の抜粋です。

暁の脱走 1950 東宝

監督 谷口千吉

製作 田中友幸

脚本 谷口千吉 黒澤明

撮影 三村明

音楽 早坂文雄

原作 田村泰次郎「春婦伝」

配役:

山口淑子 (春美)

池部良 (三上上等兵)

小沢栄 (副官)

清川荘司 (中隊長)

伊豆肇 (小田軍曹)

利根はる恵 (百合)

若山セツ子 (薫)

慰問団の一員として、中国を訪れた春美は敵に囲まれ、日本軍と共に籠城生活をしている。

三上上等兵は彼女と知り合い、愛し合うが、横恋慕する成田中尉にとがめられ,三上は営巣送りとなる。

やがて敵襲があり、三上は前線に補充され、そこで中国兵に撃たれる。

春美は三上のもとへ行き、二人で死のうとするが果たせず、中国軍の捕虜となる・・・

1965年に「春婦伝」(監督:鈴木清順、主演:川地民夫、野川由美子)として日活でリメイクされた。

リメイクされた方は扇情的な映画で、何度か見て、よく覚えているのだが、オリジナルは見覚えがなかった。

原作は「肉体の門」など娼婦ものを得意とする田村泰次郎

本来は朝鮮人従軍慰安婦の話だ。

黒澤明の脚本が占領軍の検閲官に渡った時点で変更されてしまった。

1950年版では春美たちは歌手としてやってきて,戦闘激化のため、足止めを食っていることになっている。

「暁の脱走」は上官による虐めがテーマである。

こういう虐めは日本軍特有のものであり、恥ずかしいという論調があったが、虐めは米軍にもフランス軍にもある。

日本軍のオリジナルとは思えない。

この映画はしばしば山本薩夫監督の「真空地帯」と比較される。しかし「真空地帯」は単なる反戦映画ではない。社会派映画であり、組織犯罪の映画だ。反戦映画の枠を超えている。その点で私は「真空地帯」に軍配を上げる。

この映画の予告編はアップされていなかったので、李香蘭時代の山口淑子が主演した「支那の夜」をちらり。