ミステリーシネマ神戸・はてな支店

永遠のセルマとミステリーシネマ神戸の抜粋です。

新ミス・マープル2 シタフォードの謎 グラナダTV

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演出:

ポール・アンウィン

脚本:

スティーブン・チャーチェット

原作:

アガサ・クリスティー

英米合作

原作「シタフォードの謎」(東京創元社の邦題を使っている。早川文庫は「シタフォードの秘密」)はポワロミス・マープルも現れない、ノンシリーズだった。

あのトリックさえ知っていれば、子供でも犯人がわかってしまう作品だ。

ドラマではミス・マープルが登場した。

結末も原作とは変えている。

まずトレヴェリアン大佐自身がホテルで降霊会に参加する。(原作では大佐は参加しない。)

原作でのバーナビー少佐の役が、政務官エンダビイ氏に替わっている。

原作の主人公であるエミリーの役柄が、ミス・マープルの出現で多少変わっている。

ミス・マープルはシタフォード荘で安楽椅子に座っている。

実際に捜査活動を行うのは、エンダビイ氏、エミリーと新聞記者チャールズだ。

大物俳優を被害者に起用したため、犯人を特定しにくかった。

原作通りにすると、キャスティングのバランスがおかしくなる。

しかし原作を読んでいたときも、ちらりとこの○○が犯人ではないかと思ったほどだから、

結末にさして違和感はなかった。

ノン・シリーズにミス・マープルを起用することに異論もあるだろう。

私はまずミス・マープルの短編をドラマ化してほしい。

どうしても長編でなければならないというのであれば、こういうやり方もあって良い。

アガサ・クリスティミス・マープルに思い入れがあった。

だから本当は、ジョーン・ヒクソンがドラマ化した12長編以外にも、様々な作品に登場させたかったのではなかろうか。

しかしミス・マープルが人気になったのは、戦後の「予告殺人」(1950)のヒットからだろう。

昨日の原作「動く指」(1942)のように、若くて魅力的な人間を現場で捜査させて、ミス・マープル自身は安楽椅子探偵にする展開を戦前から他にもいろいろ考えていたのではないか。

そして、「もしもあの事件をミス・マープルが推理していたら」と考えるのも、ミス・マープル・ファンの夢である。

(「そんなのは邪道だ」というのは、がちがちのポワロ・ファンだろう。)

ゾーイ・テルフォード(「ナイルの死」)が美しきヒロイン、エミリー役を演じている。

しかしややセクシーな役柄で、共感しなかった。

二人の間で気持ちを揺らしながらも、けなげに謎を解明する原作の方が魅力的。

よく知らない人だったが、キャリー・マリガン(ヴァイオレット役)の方を魅力的に感じた。

トレヴェリアン大佐に、先々代007として活躍した、超大物ティモシー・ダルトンを起用。(「007/リビング・デイライツ」「007/消されたライセンス」)

しかし、ずいぶん老けた。

(と言うことは、いつの日か、先代007ピアーズ・プロズナンも登場するのだろうか。)

シーズン2も今日でおしまい。

シーズン1は内容的に厳しい作品が多かったが、シーズン2は及第点を付けられる作品ばかりだった。

原作を大きく脚色したため、ラストのバランスを欠く作品もあった。

しかし撮影、美術、音楽や演出のテンポで補っていた。

ジェラルディン・マッキーワンは、2シーズン目でミス・マープルを自分のものにした。

おそらく先代のジョーン・ヒクソンは、晩年のミス・マープルをイメージして役作りした。

一方マッキーワンはおそらく、初期の「牧師館の殺人」の噂好きな中年ハイミスをイメージして、そこから自分なりのマープルをつくり出した。

歩き方一つとっても、忘れられない。

ジェラルディン・マッキーワンは14歳で舞台にあがり、クリストファー・ブラマーハムレット相手にオフェリアを演じ、王立劇場でアルバート・フィニーローレンス・オリヴィエと共演してきた人である。

水戸黄門漫遊記」も東映映画で月形龍之介が演じたあと、新劇畑の東野英次郎がテレビで見事に自分の色づけをしていた。

シーズン3はさらに内容が良くなっているようだ。

「ゼロ時間へ」(本来バトル警視ものだが、彼は登場しない模様。)

「復讐の女神」

「バートラムホテルにて」

「無実はさいなむ」(「ドーバー海峡殺人事件」の原作)

やはりノン・シリーズが二本ある。

まだまだ死ねないなあ(笑)

しかし、現在制作中のシーズン4では、ミス・マープル役はジュリア・マッケンジーという人に交代してしまった。

製作側との意見の相違か。それとも病気か。

ジョーン・ヒクソンと同じ12作品で辞めるのが、きりの良いところだと思ったのか。

うーん残念。[E:weep]